恋蛍~君の見ている風景~【恋蛍 side story】

「あの、美波ちゃん……来る、って?」


聞いても美波ちゃんはただにっこり可愛く微笑むだけで、あたしの質問には答えずにケイちゃんの方へ駆け戻って行った。


「ケイちゃん、お待たせ。さてね、行こうね」


「うんっ。やばかやばか! 王子さまが5人も待っとうとちゃ!」


「やさ! 行こうかね」


あたしたちに向かって「行って来ます」とケイちゃんが元気よく一礼する。


美波ちゃんが勢い良くドアを開く。


ツン、と冷たい冬の匂いがした。


「姉ェネェ」


出て行きかけた美波ちゃんが立ち止まり、ゆっくりと振り向く。


「来るからさ。もう少しだけ待っとってね」


あたしは無意識の中、水色の封筒をぎゅうっと握っていた。


「いや、あの……だから、来るって……?」


「来る言うたら決まっとるでしょ」


カフーに決まっとるでしょ。


そう言って、美波ちゃんは綺麗に、清楚に、笑った。


「詳しいことは、その手紙に全部書いておきましちゃん」


「えっ、なに、どういうこ――」


「姉ェネェ」


一拍あって、美波ちゃんが続けた。


「カフーがさ、来るんだよ」