恋蛍~君の見ている風景~【恋蛍 side story】

どこで、何で知って、ここへ来たのだろう。


「陽妃さん」


小春があたしの背中に触れた。


「私はいいと思います。もう、いいと思う。自分の気持ちに嘘をつくような生き方はやめましょう。素直に生きていいと思う」


「僕もそう思うよ、須藤」


今度は堀北さんがあたしの肩を叩いた。


「先輩もそれを望んでいると思う」


あたしはこれ以上涙が溢れないように奥歯を噛み、やっとの思いで顔を上げた。


堀北さんも小春も、笑っていた。


「須藤を愛した先輩は、どこまでも自分の気持ちに正直で誠実な男だったんだから。君も正直に、前に進むべきなんだよ」


「そうですよ。榎本さんに負けないように、正直に生きなきゃ。私も堀北さんも、陽妃さんも」


空を見上げた。


眩しくて、やっぱり涙が溢れた。


「潤一……ごめんなさい……」


やっぱりあたし、嘘はつけない。


そこに広がっていたのは、どこまでも果てなく誠実な青空。


まるで、彼の生き方そのものをあらわしているような、澄みきった空。


空を見上げて泣くあたしに、堀北さんは言った。


「誰にどう思われてもなにを言われてもいいじゃないか。その気持ちに嘘がないのなら」


真実一路だよ、と。


中庭の片隅。


遠慮がちに咲いていたのは、一輪の草花。


淡いピンク色のねじり花が、南風に揺れていた。


「堀北さん。お願いがあるんです。聞いてくれますか?」