恋蛍~君の見ている風景~【恋蛍 side story】

一度振り返してしまった想いは、決壊して手の施しようがなくなったダムのようにあふれて、止めようがなかった。


バカだな、あたし。


本当に最低。


逃げたかっただけだ。


潤一に逃げてしまったんだ。


「ごめ……ごめんなさい……ごめんなさいっ」


ノートを抱き締めた胸の奥で、淡い光がぽうっと静かに灯っている気がした。


それは、優しく清潔な、クリアブルー色の淡い光で。


潤一に出逢った24歳の冬からずっと見て見ぬ振りをしていた、恋の蛍だった。


なぜ、ここに来たのかは分からない。


でも、信じられないことに、ノートに綴られていた名前と筆跡は確かなものだった。



【比嘉 海斗】