「えっ、知ってたんですか?」
「あったり前だべ。めんこい子はチェック済みだ」
「いや、それはそれは」
あたしがクスクス笑うと、彼は然り気無くメニューを差し出してくれた。
「さて、何にしようか」
「そうだなあ」
メニューを受け取り、でも、直ぐに置いた。
「お酒久し振りだし、せっかくだし、マスターのオススメで」
「あ、俺ね、ここじゃ親方って呼ばれてんだ」
「親方?」
「んだ」
この人も面白い人だ。
彼の名前は斎藤昇(さいとう のぼる)さん。
店長だ。
「これ、初来店のサービスだから」
と、お通しのバジルウインナーとアボガドのサラダのワンプレートを出してくれたのがオーナーの宏子(ひろこ)さんで、ふたりは夫婦だった。
「お酒は強い方?」
親方に聞かれて、あたしは頷いた。
「たぶん。でも、本当に久し振りだからすぐ酔っ払うかも」
「明日は仕事?」
「休みです」
あたしが答えると、親方は「了解」と無邪気な笑顔で氷を砕き、シェイカーを振り始めた。
もしかしたら、親方はあたしが酔っ払いたいのをちゃんと分かってくれていたのかもしれない。
「ほい。姫にはこれだべ」
と親方がコースターの上にグラスを置いた。
「ひ、ひめ?」
首を傾げると、ふたりは目を合わせて同時にぶはっと吹き出した。
「ごめんごめん。あのね」
と宏子さんが言った。
「実はうちら、お姉さんのこと勝手に白雪姫って呼んでたんだ」
んだんだ、と親方もあたしを指差しながら笑う。
「いや、宏子が言うもんだからよ。なまら色白の子がこの上さ住んでるって。して、雪みたいに色白だべ。だから白雪姫」
「な、なるほど」
へんなご夫婦だ。
「姫の名前、聞いてもいい?」
宏子さんに聞かれ、あたしは笑いながら答えた。
「陽妃です。すどうはるひ」
「へえー! そりゃあ綺麗な名前だ。姫にぴったりだべ」
「そんなことないです」
あたしは苦笑いして、グラスに視線を戻した。
「あったり前だべ。めんこい子はチェック済みだ」
「いや、それはそれは」
あたしがクスクス笑うと、彼は然り気無くメニューを差し出してくれた。
「さて、何にしようか」
「そうだなあ」
メニューを受け取り、でも、直ぐに置いた。
「お酒久し振りだし、せっかくだし、マスターのオススメで」
「あ、俺ね、ここじゃ親方って呼ばれてんだ」
「親方?」
「んだ」
この人も面白い人だ。
彼の名前は斎藤昇(さいとう のぼる)さん。
店長だ。
「これ、初来店のサービスだから」
と、お通しのバジルウインナーとアボガドのサラダのワンプレートを出してくれたのがオーナーの宏子(ひろこ)さんで、ふたりは夫婦だった。
「お酒は強い方?」
親方に聞かれて、あたしは頷いた。
「たぶん。でも、本当に久し振りだからすぐ酔っ払うかも」
「明日は仕事?」
「休みです」
あたしが答えると、親方は「了解」と無邪気な笑顔で氷を砕き、シェイカーを振り始めた。
もしかしたら、親方はあたしが酔っ払いたいのをちゃんと分かってくれていたのかもしれない。
「ほい。姫にはこれだべ」
と親方がコースターの上にグラスを置いた。
「ひ、ひめ?」
首を傾げると、ふたりは目を合わせて同時にぶはっと吹き出した。
「ごめんごめん。あのね」
と宏子さんが言った。
「実はうちら、お姉さんのこと勝手に白雪姫って呼んでたんだ」
んだんだ、と親方もあたしを指差しながら笑う。
「いや、宏子が言うもんだからよ。なまら色白の子がこの上さ住んでるって。して、雪みたいに色白だべ。だから白雪姫」
「な、なるほど」
へんなご夫婦だ。
「姫の名前、聞いてもいい?」
宏子さんに聞かれ、あたしは笑いながら答えた。
「陽妃です。すどうはるひ」
「へえー! そりゃあ綺麗な名前だ。姫にぴったりだべ」
「そんなことないです」
あたしは苦笑いして、グラスに視線を戻した。



