「雰囲気あやしいし幽霊でも出そう、って巷じゃちょっと有名なんです」
「そうなの」
「それだけじゃないですよ」
聞いてくださいと言わんばかりに、緋衣ちゃんは目を輝かせた。
「女性オーナーが趣味でやってるタロット占い。これが妙に当たるって。まあ、うわさですけどね」
「へえ。でも、あたしは占いとか信じないたちだからなあ」
おばあのウシラシは別だけど。
でもね、と緋衣ちゃんはなぜかひそひそと小声になった。
「あのバーで知り合った男女が出逢って1ヶ月で結婚した、とか。略奪愛に成功したとか復縁したとか。噂が絶えないんです」
「えー、たまたまじゃないの」
「そうかもですけど。でも、あのバーに行くと良い事が起きるって。結構話題に出ますよ、大学でも」
「そうなんだ」
その日は朝から冷たい小雨が降り続いた1日だった。
7月からの夏期限定メニューの考案会議で遅くなって、帰宅したのは21時近くだった。
SOUL NOTEはその夜もこじんまりと営まれていたけど、朝から降りやまない雨のせいなのか、店内はがらんとしていた。
SOUL NOTEの前を通過し階段を上がり、部屋の鍵を開けようとした時、ふと視界に飛び込んで来たのは郵便受けからはみ出している白い封書だった。
美波ちゃんからだろうと思い、手に取る。
「え?」
でも、それは堀北さんから送られてきたものだった。
「めずらしい」
というより、美波ちゃん以外の人物から手紙が届いた事に驚きなから、鍵を開けようとした時。
「にゃー」
真下から鳴き声が聞こえて、手すりから身を乗り出して見てみると、2匹のネコがSOUL NOTEの前にちょこんと並んで座っていた。
真っ白なネコと真っ黒なネコだ。
「わ、かわいいー」
あたしは堀北さんからの手紙と部屋の鍵をバッグに突っ込んで、階段を駆け降りた。
「社長! 部長!」
2匹をそう呼んで、店の軒下で餌を乗せた小皿を差し出す彼女を見て、思わず笑ってしまった。
あたしの気配に気付き振り向いた彼女がふふっと恥ずかしそうに笑う。
「白いのが社長。黒いのが部長」
と順番に指差しながら。
「そうなの」
「それだけじゃないですよ」
聞いてくださいと言わんばかりに、緋衣ちゃんは目を輝かせた。
「女性オーナーが趣味でやってるタロット占い。これが妙に当たるって。まあ、うわさですけどね」
「へえ。でも、あたしは占いとか信じないたちだからなあ」
おばあのウシラシは別だけど。
でもね、と緋衣ちゃんはなぜかひそひそと小声になった。
「あのバーで知り合った男女が出逢って1ヶ月で結婚した、とか。略奪愛に成功したとか復縁したとか。噂が絶えないんです」
「えー、たまたまじゃないの」
「そうかもですけど。でも、あのバーに行くと良い事が起きるって。結構話題に出ますよ、大学でも」
「そうなんだ」
その日は朝から冷たい小雨が降り続いた1日だった。
7月からの夏期限定メニューの考案会議で遅くなって、帰宅したのは21時近くだった。
SOUL NOTEはその夜もこじんまりと営まれていたけど、朝から降りやまない雨のせいなのか、店内はがらんとしていた。
SOUL NOTEの前を通過し階段を上がり、部屋の鍵を開けようとした時、ふと視界に飛び込んで来たのは郵便受けからはみ出している白い封書だった。
美波ちゃんからだろうと思い、手に取る。
「え?」
でも、それは堀北さんから送られてきたものだった。
「めずらしい」
というより、美波ちゃん以外の人物から手紙が届いた事に驚きなから、鍵を開けようとした時。
「にゃー」
真下から鳴き声が聞こえて、手すりから身を乗り出して見てみると、2匹のネコがSOUL NOTEの前にちょこんと並んで座っていた。
真っ白なネコと真っ黒なネコだ。
「わ、かわいいー」
あたしは堀北さんからの手紙と部屋の鍵をバッグに突っ込んで、階段を駆け降りた。
「社長! 部長!」
2匹をそう呼んで、店の軒下で餌を乗せた小皿を差し出す彼女を見て、思わず笑ってしまった。
あたしの気配に気付き振り向いた彼女がふふっと恥ずかしそうに笑う。
「白いのが社長。黒いのが部長」
と順番に指差しながら。



