恋蛍~君の見ている風景~【恋蛍 side story】

「あの、これってどんな意味なんですか」


【SOUL NOTE】


店先の看板を指差すと、彼女はゆったりとした口調で答えた。


「ああ、これな。魂の旋律って意味」


「タマシイの、センリツ、ですか?」


「んだ」と彼女はやわらく微笑んだ。


「魂って共鳴し合うっしょ。うちの店は出逢いを大事にしてんだ」


「なるほど」


そこは覗けば覗くほど不思議で、興味をそそられる内装のバーだった。


パワースポットとしてちょっと有名なお店だと教えてくれたのは、トルテのスタッフだった。


「ああ! 知ってますよ、ソウルノート」


都市伝説的なうわさ話が大好きな20歳の女の子、雨池緋衣(あまいけ ひい)ちゃん。


「緋衣ちゃん、あそこに飲みに行ったことあるの?」


彼女は地元大学生で、お洒落に敏感なイマドキの明るい女の子だ。


「それはないですけど。同じ講義の友達が行ったみたいで」


緋衣ちゃんは元気で活発で、テキパキと働いてくれる。


「常連客の間で言われてるらしいですよ、あのバー」


緋衣ちゃんは可愛い顔の前で両手首をだらーりとぶら下げるジェスチャーをしながら言った。


「出そうな店、って」


「で、出そう?」


う、と引き気味に聞くと、緋衣ちゃんはイタズラっ子のようにうふふっと笑った。


「なまら雰囲気あるっしょ、あの店」


……確かに。