「……知ってますか?」

最低限の説明のみで聞き出そうとする。

正直に言ったらそこから弱みを握られたりしそうだし……

「パシリ」

「……は?」

その誰かを呼ぶような言い方に

一瞬何のことかわからなかったが、一拍おいてから気づく

……パシリって俺のこと?

「……」

返事はしない

俺パシリなんて名前じゃないもん

しっかり"野田 光也"って呼ばれなきゃ返事するもんか

「おい」

「……」

むん

俺怒ってるんだからな

「返事くらいしろよ」

「……だって俺、呼ばれてないですし」

パシリっつう世にも珍しい名前が呼ばれたのは聞いたけどさ。

「助けて欲しいんだろ」

ああもうッ

「そんな考え失せましたよ……」

鹿島先輩に聞く!

「鹿島は知らねぇぞ」

ふぇ!?

「何でわかっ……」

「お前の考えなんてお見通しなんだよ」

耳元で囁かれ、不覚にもドキッとする。

……こんなヤツにドキッとするなんて

乙女の血が憎い……

ニヤッと不敵な笑みを浮かべた会長

「助けて欲しいんだろ」

俺の意思と関係なく、首が動く

しかも縦に

はぁぁ……

本当に乙女の血が憎い……