「せ、先生」

あいつら許さん

友達なんだから一緒に忘れてくれてもいいのに

ヒドイ! サイテー!

許さないんだから!

……自分で考えて鳥肌たったわ

うん

でもやっぱりあいつら非情だと思う

友達なのに……

友達なのに!

「あら、どうしたの」

「あの……宿題を忘れてしまって……」

「まあ」

「……それだけですか?」

「まさか〜そんなわけないじゃない」

どんな罰則が……

「普通は自室謹慎&『自分は宿題を忘れました』っていう紙を背中に貼るんだけど……」

思いの外厳しい

ん?でも自室謹慎なら誰にも見られないのか

よくわからん

……と

何か聞き漏らしてない?

んと……

あ、『普通は』だ

普通はってどゆこと

「今回は論文の手伝いをしてもらいます」

は?

論文の手伝い?

「三年生に鹿島 竜っていう先輩がいるのは知ってる?」

俺は首を横に振る。

誰っすか? その人。

「特待生なの」

特待生?

「ここって特待制度あったんですか?」

「あるにはあるのよ。
でも条件が厳しすぎて……
入試で九割取らなきゃならないの」

あの入試で九割

絶対ムリ

俺五割くらいだもん。

「すごいですね……」

「でしょぉ
あなたはその鹿島君が書く論文の手伝いをしてちょうだい」

それだけにしてあげるから

そう言ってウフッと笑う先生

背中に張り紙は誰にも見られないからいいとして

自室謹慎はキツい

だってだって

あのご飯を食べれないんだよ?

そんなのと比べたら絶対こっちのがいい

俺はコクンと頷いた