「……美女さんは名前がわからないって……それなのに心が息子だってわかるっておかしいし……」

なんとなく言い訳っぽいけど違う

うん、違う

俺の方が正論だよね?

「ああ、あれね……
              ウソなのよ」

「え、ウソってなんで……え?」

「ふふっ
ごめんなさいね
あの時点ではまだあなたを信じ切れなかったから……」

信じ切れなかったって

じゃあなぜ

「俺を屋敷に入れてくれたんですか?」

「だってあなたがどうなろうと私は困らないもの
あなたが捕まる可能性はあっても、ね」

ん、あれ

一瞬だけ美女さんに真っ黒な尻尾が見えたぞ?

先っぽがとがった尻尾が

「……それって……」

「いわゆる生贄ってとこかしらね?」

生贄……

もしもあそこで俺が捕まったら?

今さらだけど

俺相当危ないことしてたんだな……