「バッカじゃねぇの」

考えた時には言葉がスルリと口から出ていた

「得はないとか、邪魔でしかないとか
何それ
俺が何で心と一緒にいたいと思うかまだわかってねぇのかよ」

俺が心と一緒にいたいと思うのはさ

別に『心が金持ちの家に生まれたから』とか『頭がいいから』とかじゃない

ただ単に俺が

「心と一緒にいて楽しいと思うから俺は心を連れ戻したいと思ったんだ
またバカな話して、お泊まり会とかして
……楽しみたいから」

「でも……」

「『でも』も『だけど』も言わない。
答えは『うん』か『イェス』だけ」

絶対に『行かない』とは言わせない

俺は心という友達を失いたくない

俺が失いたくない

「心、答えをどうぞ」



「ヤ……」



……え

まさかこの期に及んでヤダとか言わないよね……?

「Yeah」

「へ?」

「『うん』って言ったんだよ」

え、ヤーって…え……あ

あぁぁああああああ

『Yeah』か

ああ、なるほどなるほど

「っておい
紛らわしいじゃん
驚いちゃったじゃん
ヤダって言われるかって不安になっちゃったじゃんか」

「バカな話したいんでしょ」

「それは例として……
ああもう……」

そろそろ限界

止めらんない

「っ心~~」

「み、みっちゃん!?」

いきなり飛びついた俺に目を白黒させる心

「俺心配でッ心がもし俺を嫌いになって
もう二度と会えなくなったらって
それで……うわぁああん……」

「ちょっみっちゃん
泣かないで、ホント
ごめん、僕が悪かったから落ち着いて」

「心は悪くないんだよッ俺がッ俺が心と一緒にいたくてッ
心が心がぁッ」

もう自分でも何言いたいかわかんなくて

でもめっちゃ嬉しくって

それで

それで



「う……うわぁああん…ぁあ…ぁ……ッ……」



号泣してしまった俺の背中をトントンと叩いてくれた心は

とてもキラキラして

俺は心からよかったと安心できたんだ。