「ホントにさっちゃん知らないの?」

「こんなとこで嘘ついてどうすんだよ……」

マジか

「変なの」

「……」

新田から白けた目で見られてるような気がするのは気のせいだよね?

誰か、お願いだから気のせいだって言って

だけど、俺にかけられたのはそんな言葉ではなく

「ちょっとそこどいてくれない?」

「え?
あ、いいけど?」

「野田、どかなくていい」

「は?でも……」

「そいつ話に加わりたいだけだから」

は?

「だろ、貴(たか)」

貴、と呼ばれた少年を見る。

顔……真っ赤?

「こいつと俺いわゆる幼なじみなんだ」

「ふうん」

俺と祐一郎みたいなのか

「貴は昔っから引っ込み思案でさ、簡単に言やヘタレっていうか……」

「聡!」

タコみたいに顔を赤くして抗議する。

おもろい。

そう思ったのは俺だけじゃなかった。

「貴くんはたこっちゃん」

心も同じ。

たこっちゃんって確実にタコでしょ。

うん。

「た、たこっちゃんってたこっちゃんって……」

腹をかかえて笑う聡。

でも君もさっちゃんだからね。

似たようなもんだからね。