ヤベぇヤベぇヤベぇ

体動け! 動けぇええ!

そんな文句を言ったところで、俺の体は硬直したまんま

こーちょくしたまんま

動けっての動けっつってんだろうが!

ブチ切れ気味に体を叱る

動け動け動け動け動けぇええッ



「……え」



『……え』?

今俺、口開いてないんだけど

……まさか最後の言葉だけ漏れ出た?

今は口じゃなくて体に動いてほしいのに!

「……みっ……ちゃ…ん」

……ふぇ?

今度は俺、何も言ってない自信あるよ?

つうか自分で自分の名前呼ばねぇし

そもそも声俺じゃないし

まあ毎日聞いてた声だけ……ど

んんんッ

ちょいまちちょいまち

超大切なことスルーすんな俺!

声聞いた時点で気づけ!

男なのに、高音で

それでいてイタズラっぽさを含んだ声

俺が聞き間違えるわけねぇ声

それを頭で整理した瞬間、俺の硬直は解けた

高速でシュバッと右を振り向けば、俺が今日一日捜し回っていた友達……親友ともいえる彼の姿……