青と口笛に寄せられて



私は井樋さんに連れられて、倉庫の中へ連れてこられた。
朝早くに見た時は閉まっていたシャッターは全開になっていて、奥まで光が差し込んでよく見える。


ソリ本体がいくつも並んでいて、どれも使い込まれているような印象を受けた。
遭難して救助してもらった時には気づかなかったけど、ソリは木製だった。
こういう機会って珍しいので、まじまじとソリの形状とかをチェックしていると、井樋さんに何かを投げられた。


バサッと顔にかけられたそれを広げると、黄色いジャケットのような上着だった。
え?と思って彼の方を向いたら、それを合図に次々と色んなアイテムを投げてよこされる。
その都度キャッチした。


「あんた、その格好じゃ寒くて耐えられないと思うよ。着替えて」

「あ、はい」


着ていた白いダウンコートを脱いで、渡された黄色いジャケットに袖を通す。
フード付きのそのジャケットの内側にはボアがついていて、着るだけでかなり暖かい。外側の布地も撥水する素材になっていて、多少の雪でも染み込んでこないようだ。
同じく、内側にボアのついた防寒ズボンをデニムの上から履く。


「帽子、ゴーグル、ネックゲイター、グローブ」


言われた通りに順番に身につけていく。
顔まですっぽり覆いつつ首元も暖めてくれるアイテムは、ネックウォーマーじゃなくてネックゲイターって言うんだ。
手袋じゃなくて、グローブ。
はぁ、名称も色々あるんだ。


「本当なら中にフリースも着てほしいんだけどな。あ、足は何センチ?」

「23センチです」

「これ、防寒ブーツ」


なんと、そのブーツの中にもボアが施されている。
確かにこれならムートンブーツと違って雪の中を歩いても染み込んでこない。
ブーツに足を突っ込みながら感心した。


重装備の私の横で、井樋さんも準備を始める。
もたつく私と違って、あっという間に彼は準備を整えた。


私を助けてくれた時と同じスタイル。
違うのは、ダウンジャケットの色だけ。
ダークブラウンじゃなくて、ブルーのダウンだ。