ちょうど2回目のターンでナースステーションまで着いた時、
「滝川深雪さんに会いに来たんですが……」
という、私の名前を呼ぶ声が聞こえた気がして振り返った。
ちょうど面会希望者が多く詰めかけていたらしく、ナースステーションの窓口には何人もの人がいる。
気のせいかな、と背を向けて、再び歩き出そうとしたら
「深雪ちゃん!」
と声をかけられた。
え!?聞き覚えのある声。
幻聴じゃなければ………………。
振り返ると、見慣れた明るい笑顔がそこにあった。
「ま、政さん!?どうしてここに!?」
あまりにもビックリしすぎて、体のバランスを崩してよろめく。
ちょうどタイミングよく誰かがそばにいたようで、ガシッと腕をつかまれて体を支えてくれた人がいた。
「あっ、すみません、ありがとうございま…………、えええええっ!?」
廊下の真ん中で大声を上げてしまった。
だって私の体を支えてくれた人は、啓さんだったのだ。
啓さんはものすごい声を出した私に、人差し指を立てて静かにするように示唆したあと、ニヤリと笑みを浮かべた。
「元気そうだべさ、深雪」
「け、け、啓さん…………」
ドッと体の力が抜けた。
「啓さあああああああああん!!」
人目もはばからず、私は啓さんに抱きついてしまっていた。



