青と口笛に寄せられて



人に言われなきゃ分からないほど、私は啓さんのことをちゃんと考えていなかったということを痛感してしまった。
さらに気分が落ち込んだところへ、壮一郎さんが優しい声で話しかけてきた。


「君が自分を責めることはないよ。あんな顔して案外不器用な啓が悪いんだから。こういう時こそ男がちゃんと言ってやらなきゃならないっていうのを、あいつは分かってないんだよ」

「そーだわそーだわ!壮ちゃん、啓に言ってやるべ!」

「あとで電話でもしておくかな〜」


2人で盛り上がりかかっているので、慌てて私は両手をブンブン振って「待ってください!」と止めた。


「私、怪我する前に啓さんに酷いこと言っちゃったんです!だから……、私から連絡します」


麗奈さんと壮一郎さんは一瞬、顔を見合わせた。
そして、まるで私のお兄さんやお姉さんみたいに見守るような眼差しになり、


「そうね、ここは当人同士に任せっから」


と笑った。


「だけど深雪ちゃん、忘れないでね。啓だけじゃなく、みんなあなたが戻ってくるのを待ってるってこと。あなたはもう、あそこの欠かせない一員なのよ」


その麗奈さんの言葉に、私の心は救われた。
この1ヶ月ちょっと、ずっと胸に抱いていたモヤモヤした気持ちがかなり軽くなった。


そして、決意した。
きちんと家族と話をして、啓さんに連絡をしよう、と。