青と口笛に寄せられて



「深雪ちゃーん!久しぶりー!」


数ヶ月振りに会う麗奈さんだった。
結婚を機にテクラ・ドッグスレッドを去った彼女は、そういえば東京に住んでいるんだった。
そしてそんな彼女の旦那様は………………。


「やぁ、深雪ちゃん。怪我の具合はどうだい?」


と、麗奈さんの後ろからひょっこり顔を出したのは、啓さんのお兄さんでもある、壮一郎さんだった。
1回見たら忘れられないほどのかっこよさだったから、もちろん覚えている。


「こ、こ、こんにちはっ!!わぁ〜、ビックリです!お2人がここに来てくれるなんて……」

「ついこの間、裕美さんと電話した時に聞いたんだわ〜。深雪ちゃんがラントレ中に事故に遭って怪我をしたって。それでこっちに入院してるっていうから詳しく聞いてアポなしで来ちゃった!」

「か、感激です……」

「ふふふ、元気そうね」


麗奈さんは相変わらずの美人オーラをガンガン出しており、なおかつ同室の南田さんにもきちんと挨拶をしていた。
南田さんは「美男美女」の2人に目を奪われて、うっとりとした表情で会釈している。


「壮一郎さんもわざわざありがとうございます」


どの角度から見ても素敵な壮一郎さんに向き直りペコリと頭を下げると、彼は「いえいえ」と優しく微笑み返してくれた。