お母さんは動じることは無かった。
まるで私がそう騒ぐのを予感していたみたいに落ち着き払っていた。


「深雪。現実を受け止めなさい。今のあんたが仕事に戻ったところで皆さんに迷惑をかけるだけだって分かってるでしょう?安心できる環境で治療に専念する方がよっぽど有意義だと思うわよ」

「……………………分かってるよ……」


力のない言葉で、うなだれるようにしてつぶやく。
お母さんは私のことなどお見通しなのだ。
私が不安に思っていることも、きっと手に取るように感じているに違いない。


「あとで直接電話でもしなさいね。しっかり自分の口から説明するのよ」

「…………うん、分かった」


もう言い返す力もなく、体をベッドに倒して顔を布団で覆った。