それならば納得がいく。


不思議な色味のアッシュグレーの髪の毛。
ビー玉みたいな綺麗な青い瞳。
どこか綺麗な顔立ちと、白い肌。
だけど、しっかり日本人。


この人は、作り上げてこの顔じゃなくて、天然なんだ。


なかなか珍しい人と遭遇したなぁ、と思いながら彼を見つめていたら、私の視線をそれはそれはうざったそうに振り払うかのごとく睨みをきかせてきた。


「なに人の顔ジロジロ見てんだよ。…………イテッ」


傍から見たら「強烈」以外の言葉では表現できそうにないほどの力で、彼の後頭部を裕美さんが殴っていた。


「こ、と、ば、づ、か、い」

「…………ハイ」


あはは、と周りの人たちが裕美さんと彼のやり取りを見て笑う。
アットホームで、優しい時間が流れてるみたい。


………………そして、今現在、私はテーブルに並べられた料理を見比べて、何から手をつけようか迷っているというわけなのだ。


「早く食えよ」と催促されたため、時間の猶予はない。ということで、とりあえず1番手前にあった刺身の盛り合わせからイカ刺しを箸でつまんだ。
それを合図に、従業員のみなさんが料理に手を伸ばし始めた。


こんな私でも、一応客人ってことで気を遣われているのだ。


「食卓に若い女の子がいると華やぐねぇ」


と、泰助さんが嬉しそうに目を細める。
すると従業員の方々が口々に「そうねぇ」とか「東京の子は垢抜けてるわ」とか、温かい言葉を次々にかけてくれた。