つば九郎以外のことには無頓着で姉に厳しい里沙が、どうして北海道に来たのか。
それはまだこの時は知らなかった。
私はどちらかと言うと啓さんと両想いになれた余韻に浸っていたし、なおかつ、麗奈さんと壮一郎さんの結婚話で心は舞い上がっていた。
妹に北海道の良さをどんな風に話そう、どんな風に体験させよう、ってそればかり考えていた。
離れて暮らしていると、家族の状況とかは電話やメール等でしか分からない。
私が北海道へ越してきてからはお母さんがこまめに連絡をくれているから、そこは大した問題ではないと思っていたのだ。
実家を離れて、一人暮らしをしていた時なんかはほとんど連絡も取り合っていなかったから。
だけど、都内で離れて暮らすのと、東京と北海道で離れて暮らすのとで、距離に違いがあるということ。
それを気にしていなかったのは、私だけだったのだ━━━━━。



