青と口笛に寄せられて



私と啓さんの車の中での会話は、もちろん麗奈さんと壮一郎さんのことだった。


「ビックリしました、結婚すること。それと、壮一郎さんのかっこよさ」

「言うと思ったわ」

「でも目は青くないんですね」


てっきり青い目もしっかり遺伝するものだと思っていたけれど、啓さんと違って壮一郎さんは普通の目をしていた。
強いていうなら、啓さんの方が色白のような気もする。


「そもそも目が青いのも遺伝かどうかも疑わしいんだわ。色素が薄いだけって噂もある。太陽の光とか、雪の白さとか、眩しくて困る」


あぁ、それだ。
私はなんとなく納得する。
そう、啓さんは色素が薄い。その言葉がピッタリ当てはまる。


「麗奈がいなくなったら、また新しい人を探すことになるだろうけど……ま、なかなか来ないべな。深雪が来る前も半年くらい誰も応募に来なかったし」


普通に話す啓さんに、私は「嘘でしょ!?」と目を丸くした。
そんなに人気がないのか、この仕事。
めちゃくちゃ楽しくて、私には天職だって勝手に思い込んでたっていうのに。


「こんなに楽しい仕事なのに、不思議ですね……」

「田舎だし、体力勝負だし、なんでもやらなきゃならないし、繁忙期は休憩もろくに取れないからな」

「私は苦にならなかったですけど」

「だからそういうヤツは深雪くらいなんだって」


褒められてるんだか、けなされてるんだか。

確かに東京でOLをしていた頃は、逐一時計をチェックして12時きっかりにお昼休憩に入ったり、17時半きっかりに仕事を終わらせたりしていた。
仕事をするのが苦痛だったなぁ、と。
それに比べるとここでの私はだいぶ変わった気がした。