北の大地に春がやってきて、大好きな犬ゾリが少しお休みになって、仕事に余裕が出てきて、休みももらえるようになって。
色々な変化が訪れた。
初めてプロ野球の日本ハムの試合を札幌ドームに観に行って、グルメを堪能し、観光地を少しだけ巡って。
そして、啓さんと両想いになれた。
だけど、麗奈さんが去っていく。
大好きな人と結婚して、彼を支えるためにここを去っていく。
彼女の優しい笑顔や言葉に、何度も励まされたのを思い出す。
麗奈さんが、もうすぐいなくなる。
「あら、妹さんが遊びに来るの?それは楽しみねぇ」
麗奈さんと壮一郎さんの結婚話で盛り上がってるところかなり恐縮だったけど。
だけど里沙が来る話をしておかなければならない、と念のためリビングにいた泰助さんと裕美さんに話しておいた。
そうしたら、裕美さんがニコッと笑顔を浮かべてくれた。
「じゃあせっかくだから、犬ゾリ体験してってもらうべ!雪は解けてきてるから、台車になっちゃうだろうけど」
「きっと喜びます!」
数泊ならば私の部屋に布団を敷いて泊まればいい、という言葉に甘えて、布団を1組借りて部屋に運んでおいた。
そういえば妹はどのくらい紋別にいる予定なんだろう?
それすらも分からなかったから、来てから確認しなければ。
「深雪、そろそろ迎えに行くべ」
部屋の掃除をしていたら、啓さんに声をかけられた。
時計を見ると、あと数十分で妹がバスに乗ってターミナルに着く時刻だ。
私は急いでコートを羽織り、啓さんが運転する車でバスターミナルに向かうことにした。



