きっと壮一郎さんもプロポーズするつもりで紋別に帰って来たらしく、麗奈さんの左手の薬指には既にエンゲージリングらしき指輪が輝いていた。
「きゃー!おめでとうございます!!」
飛び跳ねて喜んでいると、啓さんの冷静な声。
「あのな、深雪。そりゃあ俺だって喜びたいけど、麗奈がいなくなったらウチは大打撃なんだ。今は良くても冬の繁忙期に大変な思いをすることになるべ」
「あー、まぁそれは確かにそうなるべなぁ…」
さすがの政さんもそこは心配らしく苦笑いしている。
だがしかし、麗奈さんはあくまで強気の姿勢だ。
「何言ってるべさ、2人とも!深雪ちゃんがその頃には1人前、もしくは2人前になってるしょ?大丈夫よ〜、なんとかなるって」
「なかなかいないんだって、住み込みで働こうってモノ好きは。せいぜい深雪くらいだべ、そんなヤツ」
「き、聞き捨てなりませんね!」
啓さんの悪態に対抗していると、壮一郎さんがアハハと大きな笑い声を上げた。
「啓次郎、そんなに深雪ちゃんをいじめるなよ。でも泰助さんたちには了解もらっちゃったんだよ。俺ももう30だし、これ以上麗奈を置いてくのも心苦しくて」
どこまでも爽やかでどこまでも素敵な言葉を口にする壮一郎さん。
明らかに啓さんとは真逆のタイプだ。
あれ、これって私と妹の里沙みたいなもの?
兄弟姉妹って性格は似ないものなのかしら?私たちだけなのかしら?
「それに、もう私がいなくても、啓も政も立派になったもんね」
麗奈さんはまるで姉のような発言をしながら、啓さんたち2人を見やる。きっとこうして小さな頃から2人の面倒を見てきたのだろう。



