カーテンから漏れる朝日がキラリと啓さんの青い瞳を輝かせる。
朝からその目に見つめられると、それはそれで私の方も心臓がドックンドックンうるさくなるので困ったものだ。


「朝食前にちょっとだけ」

「え?」


啓さんのつぶやいた言葉の意味は分かってはいたものの、とりあえず聞き返して時間稼ぎ。
ところがそんな私の思惑など飛び越えて、彼は即刻キスをしてきた。


内心きゃあきゃあ叫びたい気持ちでたまらなかったけれど、理性の方が強いので啓さんの体を両手で押し返す。


「無理です、無理!すっごい筋肉痛なんです、私!」

「そう。それで?」

「全身が痛いので無理です!」

「そうか。それなら動かなくていいわ。そのままじっとしてて」

「えええええええ!?」


今度は拒否されないようにガッチリ両手を固定されて、朝とは思えない激しいキスをされる。


「啓さんがこんなに肉食だとは思いませんでした……」


キスの合間に息も絶え絶えに感想を口にしたら、彼は平然とそれが当たり前のようにしれっと答えた。


「そんなもんだべさ、男なんて。あっちに戻ったらみんないてキスも出来ないだろうから今のうち。本気で嫌ならやめるけど」

「い、嫌というわけでは……」

「うん。素直でよろしい」


着直したばかりの部屋着を即脱がされ、あれよあれよとベッドの中で絡まった。


痛い。本当に体が痛い。
全身が筋肉痛になるなんていつ以来だろう。
ものすごく痛くて大変だっていうのに、何故か嬉しくなっちゃってるからおかしい。


「前に、男を見る目がないって言ってたべ?」


昨夜同様、されるがままの私はぼんやりした頭で啓さんの声を聞いた。
はい、とかろうじて返事したけれど、届いたかどうか。


「今度はそう思わせないから安心して」


あらら、優しい……。
優しすぎて、ちょっと泣けた。
だから2度目の返事はきちんと声にした。


「はい、啓さん」


啓さんが、笑った。