「おはよう」

「お、お、おはようございます」


至って普通、むしろ何事も無かったかのように普通、目も半分開いていない状態の啓さん。
動揺する私とは正反対のお目覚め。
上半身だけ起こして、眠そうに目をこすりながらあくびをしていた。


「今何時?」

「6時です」

「なんだ、もう少し寝てられるじゃないか」

「早起きがクセになってるんですよ、私たち。ほら、体内時計が正常ってことで……」

「水、俺にもちょうだい」


私が飲んでいる水に気がついたらしく、啓さんが手を伸ばしてくる。
まだ中身が半分以上残っているコップを渡すと、彼はそれを一気飲みしてベッドサイドに置いた。


「よし、目覚めたべ」

「乾燥してますよね、ホテル」

「うん、まぁ。あ、朝ごはんまでまだ時間あるしょ」


私はいそいそとベッドの周りを歩いて、散乱しているテーブルの上から朝食時刻が記されている案内書を発見。
そこには朝の7時から朝食バイキング開始と書いてあった。


「7時からみたいです……って、うわっ!」


答えている最中だというのに、左腕を強く引っ張られてそのままベッドに倒れ込む。
反転した視界に、啓さんの企んだ顔が映った。


これは、昨日と同じ展開。