「私を好きになってくれたのは、犬みたいだから?」


ポツリとつぶやくように尋ねた質問を聞いて、啓さんは迷うことなく即刻うなずいた。


「分かりやすくていい、って言ったしょ。人懐っこくて、よく笑ってよくしゃべって、よく焦る。それが俺にはちょうどいい」

「…………褒めてますよね?」

「もちろん」


触れ合う肌の温かさとか、普段はあまり感じない啓さんの優しさとか、私を包む彼の大きな手とか、ことあるごとに頭を撫でてくれる仕草とか、愛しむように名前を呼んでくれる声とか。
全部が幸せだった。


だから、私も声にして伝えた。
この愛しい気持ちを。


「啓さん、好き」

「俺も」




あなたの、口は悪いけど優しいところも。

犬にだけは無条件で笑顔を見せるところも。

仕事に取り組む真剣なところも。

ポーカーフェイスなところも。

綺麗な青い瞳も、少し色白なところも。

その素敵な顔で北海道弁を普通に話すところも。

口笛でフィンランディアを奏でるところも。

…実はちょっとエッチなところも。



全部が愛しくてたまらない夜になった。


私はたぶん、今、世界で一番幸せだ。