青と口笛に寄せられて



乏しい知識しか持ち合わせていないことがよく分かったらしく、啓さんは背もたれに背をついて


「今日観てちゃんと覚えろ」


と何故か偉そうに言うのだった。


「はーい……。あ、啓さん。知ってました?稲葉ってヤクルトにいたんですよ?」

「知らないわけないべ」

「あ、すみません」


妹がヤクルトファンであることを生かして身につけた情報を少しでも伝えたかったけれど、あえなく撃沈。
パリーグの勉強、今日から始めます。


そうして、初めての札幌ドームでのプロ野球観戦と相成ったのだった。













結局、ここでも私が夢中になったのは、肝心のプロ野球選手ではなかった。
それは、日本ハムのマスコットのB・B。
どうしてこんなにマスコットキャラクターにばかり目がいってしまうのか、自分でもよく分からない。
でも気がついたらB・Bの姿を見つけるたびに啓さんの肩を叩いていたのだ。


「あのキャラは誰ですか!?」

「B・B」

「びーびー?何者ですか!?」

「ブリスキーザベアー」

「なにそれ……」

「知らないのか。あいつ12球団で1番足が速いんだわ」


雑学ネタまで披露してくれた啓さんに感謝感謝。
すばしっこいB・Bにハマる私。
試合そっちのけで、彼ばかり目で追ってしまった。