「日本人なのに色々と見た目がおかしいからな、俺は」
諦めたようにため息をついている啓さんの言葉で思い出した。
そうだった、彼は人とは少し違う。
瞳は青いし髪の色も黒でも茶色でもなく、くすんだグレー。
一言で言えば目立つのだ。
彼は好奇の目に晒されるということには、慣れてしまっている。
カラコンだのハーフだの、それらしいことを観光客に毎日のように聞かれているのだから仕方の無いことだ。
「おかしいなんて言わないで下さいよ。すっごく綺麗なんですから」
「あのなぁ、綺麗だとかそういうことを真剣に言うのはやめてくれ」
大真面目に言っているのだから素直に受け取ってほしいのに、啓さんは煙たがる。
それもかなり迷惑そうに。
「8分の1を説明するのも億劫なんだ。黒いコンタクトを入れようか迷ったこともある」
「だめだめ!目力半減します!」
「そんなもんいらないべさ」
「いりますよ〜!ビー玉みたいで綺麗で、見とれないようにするのに必死なんですよ、こっちは……」
途中まで言いかけて、ヤバい!と気づいてゲホゲホ無理やり咳き込んでごまかす。
褒め言葉が完全に耳に入ったであろう啓さんは、なんとも言えない表情で目をそらした。
バレたんじゃなかろうか、今ので。
私のバカっ!
ムシャムシャとソフトクリームをかき込み、まだ食べている最中の啓さんの腕を引っ張った。
「さっ、ゴーゴーファイターズ!ドームに向かいましょ」
と、苦しい言葉を吐きながら。



