青と口笛に寄せられて



あまりにも突然、眩しい光が向けられたので驚いて腰を抜かしてしまった。


「きゃあ!」


悲鳴と共に地べたに尻もちをつく。
そんな情けない姿を捉えるように、私の全身をその光が照らした。


「深雪?」


こちらからは眩しくて相手側がみえなかったけれど、私の名前を呼んだのは確かに啓さんだった。
両手で目を隠していると、光を下げてくれた。
どうやら懐中電灯で照らされていたようだ。


「け、啓さん!び、び、ビックリさせないで下さいよ!」

「こっちのセリフだべ。何時だと思ってんだ?」


懐中電灯で足元を照らしながら、スウェット姿の啓さんが私のいる所まで足早に歩いてくる。
尻もちをついたままの私に手を差し伸べてくれて、立たせてくれた。


「外から変な音がしたので、様子を見に来たんです」

「そっか。俺も同じ。もしかしてここの扉でも開いてたか?」

「そうみたいです」

「ごめん。たぶん俺が閉め忘れたんだわ」


啓さんはそう言って、私がさっきまで話しかけていたカイを見やった。
カイはすっかり喜んだ様子で、目をキラキラさせて啓さんを見上げている。構ってオーラ全開だ。


「少しだけ散歩するか」


と、カイの檻の鍵を開けて彼を外に出す。
素早くリードを取り付けて、私をチラッとうかがった。


「どうする?一緒に来る?」

「い、行きます!」


めちゃくちゃ寒いんだけど、それは我慢することにした。
2人で、いやカイも一緒だけど、夜の散歩なんて素敵だと思った。