青と口笛に寄せられて



犬ゾリ体験に付き添う従業員で女は私だけ。
どうやらそれなりに目立つらしい。
怜からの視線をガンガン感じながらも、私は割り当てられた2組のカップルを相手に犬ゾリに乗る際の注意点や犬たちの特性などを話した。


「私みたいな女でも普通に乗れるんですか?操縦できますか?」


1人の女性がそんな質問を投げかけてくる。
その気持ちは大いにわかります、と何度も共感しながら自信を持ってうなずく。


「もちろん大丈夫ですよ。ここの犬たちはプロですから、よっぽどのことがない限り意思疎通もはかれます!時間を見てぜひ触れ合ってみてください。信頼関係もいい滑りに繋がりますから」

「ハスキー犬って怖いイメージでした〜」

「分かります!でも逆なんです。人懐っこくてとっても従順で優しい性格で。癒してくれますよ」


観光客と話すのは嫌いじゃない。むしろ好き。
仲良くなればなるほど、いかに犬ゾリが面白いかっていうことを伝えられるからだ。
ソリに乗るだけじゃなく、運んでくれる犬たちに感謝の気持ちを伝えることで、驚くほどに優しくなれるんだ。


お客様と話しながら、無意識に啓さんの方を見やる。


彼は家族連れのお客様の対応をしており、小学生くらいの男の子に優しくソリの乗り方を説明していた。
その顔を見ていて、シベリアンハスキーみたいな人だ、と思った。


啓さんはシベリアンハスキーみたい。
目は青いし、黙ってるとちょっと怖いし、何かドジるものならばキツい言葉を浴びせてくる。
だけど本当は優しくて、温かくて。
そして、意外とイタズラ好き?怜に仕掛けようとしてる雪流しの刑が何なのか、いまいち分からないんだけど。