里沙からの電話をぶった切り、私は部屋を飛び出して階段を駆け下りた。
底冷えする廊下を抜けて、リビングへ飛び込む。
リビングでは泰助さん裕美さん夫婦、啓さんと政さんの4人が残っていて、各々コーヒーやら緑茶やらを飲んで団らんしていた。
ものすごい勢いでリビングに現れた風呂上りの女を、4人は驚いた目で見つめてきた。
「どうしたの、深雪ちゃん?」
裕美さんが飲んでいたコーヒーのカップを置いて近づいてくる。
その彼女に、おそるおそる口を開く。
「えーと……、向こう1週間の体験ツアーの予約状況を見てみたいんですけど。いいですか?」
「別にいいけど……」
裕美さんはうなずいて、テーブルでパソコンを開いている泰助さんに目配せをする。
泰助さんは戸惑いつつも、手元にあるノートパソコンの画面の向きを私にも見やすいようにして変えてくれた。
興味を示した政さんが「なになに?」と、ワクワクしたような顔つきで一緒になってパソコンの画面をのぞき込む。
残念ながら啓さんはさほど興味が無いようで、1人でソファーにもたれてテレビを見ている。
「ちょうど予約状況の確認をしてたところだ。好きに見るといい」
泰助さんに言われて、私はマウスを操作して画面を事細かにチェックした。



