オフィスにラブは落ちてねぇ!! 2

緒川支部長の顔をした“政弘さん”は、愛美の手を、ギュッと握った。

そして、愛美の耳元で囁く。

「愛美、今だけ、二人っきりになろ。」

「……ちょっとだけですよ…。」

赤い顔をした愛美が小声で答えると、“政弘さん”はもう一度唇に軽く触れるだけのキスをして、愛美の耳元に唇を寄せた。

「キスの続きは、旅行から帰って二人っきりになってから、ね。」

「……当然です。」

二人は小さく笑い合って、そっぽを向いた。


“政弘さん”がギュッと手を握ると、愛美もギュッと握り返した。

指先に感じる温もりが心地いい。

(今だけ。……もう少しだけ。)

愛美はそっぽを向いたまま、繋いだ手に指をそっと絡めた。

“政弘さん”は指を絡めて繋いだ愛美の手を、もう一度ギュッと握った。




いつものオフィスを離れた今日は、二人とも自分に甘いかも知れない。


上司と部下のふりをして、いつもは保っているその距離を縮めて、恋人に戻った。


誰も見ていない今だけ、ほんの少しだけ。





月曜の朝、オフィスではまた、いつも通り。