オフィスにラブは落ちてねぇ!! 2

緒川支部長は小さく笑って、誰にも気付かれないように、窓の外ばかり見ている愛美の手を、そっと握った。

「……っ!!」

愛美が驚いて振り返る。

「しーっ。」

緒川支部長は声には出さずそう言って、人差し指で唇を押さえた。

「少しだけ。」

「え?」

愛美が尋ね返す暇もなく、緒川支部長は身を乗り出して、愛美の視野を遮った。

そして素早く唇にキスをした。

緒川支部長はあっという間に唇を離して、座席の背もたれに身を預けている。

愛美は真っ赤な顔をして、窓の方を向いた。

(しっ…信じられない!!みんなもいるのに!こんなところで!政弘さんのバカ!!)

隣に座っているのは上司の緒川支部長のはずなのに、今だけは大好きな“政弘さん”に変わってしまったようだと愛美はうろたえる。

いつもはスーツを着て仏頂面をしている緒川支部長が、今日はいつもより少しカジュアルな服装で、ほんの少し穏やかな顔をしている。

それだけでも雰囲気がかなり違って、愛美としては、少し調子が狂ってしまう。