でも、女の子は化粧でいくらでもかわるからわからないか。


玄関を出た女の子はあたしを見て首を傾げる。


「あたしの顔を忘れた?」


威圧的な態度でそう聞くと、女の子は驚いたように目を丸くし後ずさりをした。


「だ、誰だっけ……?」


「昨日あたしの彼氏をバカにしたでしょ!!」


突然怒鳴ると女の子はその場に尻餅をついてしまった。


派手な外見とは違い、小心者のようだ。


それならこのまま勢いに任せて怒鳴り散らしてしまおう。


「あ、あたし知らな……!」


「とぼけるな!! あたしはあんたの事知ってるよ。○×高校北乃リナ。いつも派手な格好で、クラスメートをいじめてる!」


「な、なんで……?」


サッと青ざめる北乃リナ。


実はミカンからのメールには3人の名前や住所だけでなく、少し細かな情報まで書かれていたのだ。


全く知らない子から学校内の事を指摘されれば誰だって怖くなる。


それを利用してやろうと思って来たのだ。


あたしは北乃リナを怒鳴りつけながら徐々に自分が笑顔になっているのを感じていた。


誰かを怒っている時には自分が自分に戻って行くような感覚になる。


あたしは見たことのないイジメられっこの事を思い浮かべていた。