「そのくらい、あたしにとっては普通だよ」


「でも、こんなにいい点数が取れるなんて……一体誰に似たの?」


「さぁ?」


あたしはお母さんの言葉に首を傾げた。


「これだけの点数が取れれば、大学もいい場所へ行けそうね」


まるで自分の事のように喜んで目を輝かせている。


大学はT大学を受験したいと思っているけれど、今はまだ内緒だ。


もっともっと勉強をして、この美の点数なんて気にならないくらいの実力が付いた時、そのことを話すつもりだった。


「で、順位はどうだったの? あれほど1位を取りたがっていたものねぇ、この点数ならきっと堂々の1位だったんでしょう?」


そう言われ、あたしはお菓子に伸ばしかけた手を止めた。


自分でも意識しないまま表情が険しくなっていたようで、お母さんが慌てたように「じゅ、順位なんて関係ないわよね。これだけの点数が取れたんだから」と、付け足して言った。


「ちょっと出かけて来る」


あたしはお母さんの言葉に返事をせず、そう言ってリビングを出たのだった。