この美はそれを見て顔をしかめたのだ。


あたしは自分の答案用紙をギュッと握りしめていた。


直さなきゃいけないのに、先生の声が耳に入ってこない。


「今回の最高得点は98点だ。優しい問題だったから、80点は取れたと思うんだけどなぁ」


先生がそう言い、クラスからブーイングが起こる。


あたしは視線を明彦へと移した。


80点が取れなかった明彦はヘラヘラと笑ってごまかしている。


その様子にいらだちを覚えた。


どうしてそんなに平気な顔をしていられるの?


あたしも明彦も、この美と京一郎に負けてるんだよ?


同じ高校に入学して、同じクラスになって、同じくらいの時期に付き合い始めた2人に、あたしたちは負けたのに……!


気が付けばあたしは奥歯をかみしめていたのだった……。