あたしは気が付かない間にジッと明彦の方を見ていたようで、それに気が付いた明彦が近づいてきた。


「どうしたんだよ、知世」


休憩時間に1人で机に座っているあたしを気にした様子の明彦。


でも、そんな事気にしてもらう必要なんてない。


「別に……」


あたしは少しイラついて明彦から視線をそらせた。


あたしは明彦の点数に怒っているのに、明彦はそれにも気が付いていない。


「せっかく学年2位なのに、どうして不機嫌なんだ? 学年2位なんてとれるもんじゃないぞ?」


『2位』を連呼する明彦に、あたしは思わず自分の机を手のひらで叩いていた。


バンッ! と大きな音が教室に響き渡り、クラスが一瞬静かになる。


明彦は目を見開き「知世……?」と、呟くようにあたしの名前を呼んだ。


「あたしは1位を狙ってたの! 五科目合計で400点も取れないような明彦にはわからないだろうけど、あたしはそんな低レベルな争いをしているわけじゃないの!!」