女の子らしさのある花梨は男子生徒からとても人気が高く、花梨さえその気になればいつでも彼氏はできそうだった。


しかし、花梨にその気がないのだ。


「あたしは、まだ洋ちゃんの事が好きだから……」


どんなことでも引きずらない花梨にしては珍しい事だった。


元カレの事がまだ好きだと言う話は聞いていたけれど、そこまでいい男だったのかと不思議に思ってしまう。


「連絡とかはしてないの?」


「時々してるよ? でも、洋ちゃんは県外の高校に行っちゃってるし会えないから……」


そう言い、花梨はネックレスを売り場へ戻した。


一瞬買ってあげたいという気持ちになったけれど、これを買って花梨にプレゼントするのはあたしじゃないことくらい、わかっていた。


「あ、これ可愛い!」


花梨は洋ちゃんの話を途中にして、再びアクセサリー選びを始めたのだった。