花梨の機嫌が直ったところで担任の先生が教室に入ってきて、教室内は静かになった。


「それじゃ、予定通りこれから数学のテストを返却していく。出席番号で呼ぶから、1人ずつ取りにこいよ」


若い男の先生と言う事で、女子たちはみんな大人しく話を聞いている。


男子にとってはそれが面白くないのか、先生の方をろくに見てもいない。


そんな中、先生は決められた儀式のように番号を呼び始めた。


明彦はすぐに呼ばれ、テスト用紙を確認して笑顔を浮かべた。


いい点数だったのかな?


明彦はすごく勉強ができるというタイプではないけれど、決して苦手というわけでもない。


もっと勉強すれば、きっとクラス上位に食い込むことだってできる。


そんな明彦の横を通り過ぎて教卓へ向かう1人の男子生徒。


小木京一郎(オギ キョウイチロウ)。


1年生の中でも一番カッコいい男の子で、同じクラスの北原この美の彼氏だ。


2人は入学してすぐに交際を始めたらしい。


あたしと明彦も、同じようなものだった。