クレーマー

果歩はそう言い、スマホを真っ二つにへし折った。


バキッと言う音が聞こえてきて頭に血が上って行くのを感じる。


果歩のくせに！


ずっと、あたしの下僕のくせに……！！


それでも力では果歩に叶わなくて、押しのける事もできなかった。


「もう1ついいことを教えてあげるよ」


果歩はニヤつきながらそう言うと、あたしの耳にささやきかけて来た。


「あたしが『ミカン』を名乗ってリナたちの住所と名前を教えたのは、わざとだから」


「わざと……？」


「そう。あたし、中学生の頃ずっとあの3人組にイジメられてたんだ。


いつか復讐してやるって思って怒りを動物にぶつけてた。


そんな時あんたにその現場を見られたってわけ」


あたしはギリッと奥歯を噛みしめた。


そうか、あたしは知らない間に果歩のイジメの復讐に付き合わされていたということか。


あたしに忠実なフリをして、裏ではそんな事をしていたなんて……！


「なんだよ、その目は」


果歩がそう言い、あたしの頬を殴ってきた。


肌を打つ音が響き渡り、周囲から歓声の声が沸き起こって来る。


あたしは京一郎へ視線を向けた。


京一郎はただ無表情であたしを見下ろしている。