名前も顔も覚えていない人間に嫌われるという恐怖が、体中から沸き起こって来るのを感じる。


だけど、それはすべてあたし自身がそうしてきたことで……。


「ごめんなさい……」


小さな声でそう言っていた。


情けないほどに震えた声。


あたしの声を聞いて全員が一斉に笑い始めた。


誰も助けてくれない。


どこにも味方がいない。


「『申し訳ございませんでした』正しい日本語使ってね?」


三村がそう言い、あたしの頬に唾を吐きかけた。


「申し訳……ございませんでした……」


あの夢が、あの悪夢が現実のものになっている。


でも、その中でも一番の衝撃は……「なんで……?」大勢の人たちに紛れてその人物を見つけた時、あたしは体の芯が凍えるのを感じた。