北乃リナの姉。


コンビニ店員だった三村だ。


「なんのことか、わからないんだけど」


「とぼけるなよ!!」


三村はそう怒鳴り、あたしの前髪をわしづかみにしてきた。


店員という立場にいたからわからなかったけれど、三村の力はかなり強くて振りほどく事ができない。


「お前がリナに変な言いがかりをつけたんだろ! あれからリナは学校にも行けなくなったんだぞ!!」


「はぁ!? ちょっと怒鳴っただけだろ! そんなんで不登校になんかなるかよ!!」


あたしは三村に怒鳴り返す。


派手系の北乃リナがあの程度に不登校になるなんて考えられなかった。


「あんたがリナを怒鳴った次の日、リナは階段から突き落とされたんだ」


は……?


あたしは三村の言葉に目を丸くした。


「相手の顔は見えなかったけど、『あんたは知世の敵だから』って後ろから声をかけられて、そのまま背中を押されたの」


北乃リナがそう言い、ズボンを捲り上げて右足を見せて来た。


その足は大きく腫れ上がり包帯がグルグルにまかれている。


「なに……それ……」


「とぼけるな! あんたの差し金だろ!!」


三村があたしの頭を床へとこすり付ける。


「違う!! あたしじゃない!」


本当に違う。


あたしは怒鳴る以外になにもしていない。