「いつも最下位から数えた方が早い花梨にはわからないよね、1位と2位の争いがどれだけ辛いことなのか」


気が付けば、冷たい声でそう言っていた。


「花梨はいいよね。わからないところがあればあたしに聞きに来ればいいんだから。


でもあたしは、ライバルのこの美に質問するなんて絶対にできなかった。


先生に聞いても『お前は優秀だからもう少し自分で考えてみろ』って言われて……。


あたしだって花梨みたいに誰かに甘えて教えてほしかった!! 誰かがあたしの支えになってくれていれば、あたしだって学年トップを取れたかもしれないのに!!」


一気にそう言い、あたしは肩で呼吸を繰り返した。


勉強にとらわれていない花梨への妬みもあったと思う。


フラフラと遊んでばかりで、すぐ人を頼って、そして赤点ギリギリの点数だけ取って、また遊ぶ花梨。


そんな花梨が、許せなくなっていた。


「あたしは花梨のために勉強してるんじゃない!!!」


あたしが怒鳴るのと、花梨が屋上から出て行くのはほぼ同時だった……。