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京一郎のノートを持っていると、難しい問題に差し掛かっても時間を取られることがなかった。


スラスラと解けていく問題が気持ちよくて、気が付けば外は暗くなっていた。


一階からは夕飯の美味しそうな香りがしていて、お父さんの声も聞こえて来る。


いつ帰って来たんだろう?


そう思い、スマホで時間を確認した。


「うそ、もう8時?」


あたしは時間を確認して目を見開いた。


ここまで集中して勉強できたのは久しぶりのことだ。


京一郎からのメールの返事はまだないけれど、そんな事もうどうでもよかった。


あたしは立ちあがって大きく伸びをし、いい気分で一階へと下りて行ったのだった。