でも、果歩の弱味を握っている限りあたしは安全なはずだ。


《ユキ;ちょっと、クレーマーちゃんがなにしたっていうのよ》


《サトー;悪い悪い。だっていつもここで人の悪口言ってんだもん。


今までの書き込みを読んでると、身近な人間ならクレーマーちゃんを特定することってできそうだし》


《ユキ;クレーマーちゃんは被害者なんだから、仕返しなんてされるわけないでしょ!》


2人のやり取りを目で追いながら、あたしはその場に座り込んでしまった。


今までの書き込みで、あたしが誰なのかわかる人にはわかる……。


サトーの言っている通りだった。


脚色を加えて書き込んでいるけれど、現実に起こった出来事を書いていることには変わりない。


そこから推測していけばわかるかもしれない。


あたしは名無しの書き込みを思い出していた。



《特定しました》


たったそれだけなのに、今更になって背筋がゾクリと寒くなる。


あたしは慌ててミカンにメッセージを送った。


《早急に名無しの正体が知りたい!!》


名無しは今までに3度しかあたしの掲示板に書き込んでいない。


そこから本人を推測することが難しいことくらい、あたしにだってわかっている。


ミカンにそんなことができるかどうかなんてわからない。


でも、今頼れるのはミカンしかいなかった。