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京一郎の強引さに驚いたあたしは、教室を出てもしばらく話をすることができなかった。


「驚いた?」


校門を抜けてホッとしたとき、京一郎がそう聞いて来た。


「少しね」


あたしはそう返事をして、笑う。


あそこまでモテていたら、女ったらしになってしまうのも納得できることだった。


「あんな中、よく1人で話しかけて来たね」


「あたしは本気だから」


真っ直ぐに京一郎の目を見てそう言う。


京一郎は小さく笑って「平仲さんは明彦しか見ていないと思ってたけど」と、言った。


「明彦とはもう別れてるから」


「どうして? あんなに仲がよかったのに」


「京一郎の事を好きになったから」


間髪入れずにそう言うと、京一郎はマジマジとあたしを見つめて来た。


明彦に見つめられたときのようなトキメキは感じられない。


「俺は特定の子はもうしばらく作らない予定なんだ」


京一郎はあたしから視線を外してそう言った。


「束縛はしない。女の子と遊んでも構わない」


「は……?」


あたしの言葉に京一郎は目を見開いて聞き返してきた。