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そして、放課後。


あたしは女の子たちをかき分けて京一郎の机へと向かった。


正直、ここまで人気があるとは思っていなかった。


今も沢山の手紙やプレゼントをもらっていて、京一郎はそのどれもを大切に鞄に入れていた。


「京一郎」


そう声をかけると、京一郎が振り向いた。


「平仲さん、なに?」


「今日、一緒に帰らない?」


あたしの言葉に周囲からブーイングが起こる。


しかし、あたしは女子生徒たちを睨み付けた。


振られるのが怖くて手紙やプレゼントでしか自分の気持ちを伝えられない子たちとは違う。


あたしは本気なんだ。


「いいよ」


京一郎はそう言い、席を立った。


「えぇ!? これからあたし達と遊びに行くって言ったじゃない!!」


「ごめん。集団でしか話しかけられない君たちよりも、1人で勇気を出して誘ってくる平仲さんの方が可愛いから」


京一郎はそう言い、あたしの手を握って教室を出たのだった。