この美は少し青ざめた表情で京一郎を見ている。


「この美が京一郎と別れた理由って……」


「うん。本当は女癖が悪くて、あたしが我慢できなくなったから……」


やっぱり、そうだったのか。


「京一郎って、全然そんな風には見えないのにね」


「今まではあたしと付き合っていたから、表面上では大人しかったの。


でも、昨日別れてからすぐいろんな子に連絡しはじめたの。あたしの目の前で『彼女と別れたから遊ぼう』って……」


そう言い、この美は悔しそうに唇を噛んだ。


この美からしたらひどく屈辱的な事だっただろう。


でも、ライバルを慰めるほどあたしは優しくはない。


「で、明彦と会話くらいできた?」


「え? あ、挨拶くらいは」


明彦の話題になると途端に頬を染めるこの美。


競争心のない明彦なんかのどこがいいのか、あたしにはもう理解できない。


「そっか。じゃぁ、お昼を一緒に食べるようにセッティングしてあげるよ」