「うん。勉強とか、特にね」


「あ、ありがとう……」


あたしはそう言い、ほほ笑んだ。


家でも学校でもジタバタともがいているのは事実だ。


「頑張ってる子って、俺好きだな」


「そ、そうなんだ?」


あたしは京一郎を見る。


京一郎は少しだけ頬をピンク色に染めているのがわかった。


でも、京一郎ってこんなキャラクターだっけ?


この美と別れてすぐ、他の子へ甘いセリフを言うような人だとは思っていなかった。


「京一郎が好きとか言うと、女の子たちは勘違いするよ?」


「どうして? 別に勘違いじゃないけど」


京一郎はなんの躊躇いもなくそう言う。


今まで京一郎の成績にしか興味がなかったから、あたしは目を見開いた。


「だって、この美がいるでしょ?」


「あぁ……この美とは昨日別れたんだ。他に好きな人ができたんだって」


その言葉にあたしは一瞬ドキンッとする。


やっぱり、別れていたんだ。


「それで……京一郎はそれで納得したの?」


「俺? もちろんだよ。人の気持ちは変わりやすいからね」


そう言って、京一郎はいつもの笑顔を見せたのだった。