「とぼけるな!!!」


あたしはそう怒鳴り、マキナのピンク色の髪の毛を掴んだ。


「痛い!!」


マキナが悲鳴を上げる。


「この尻軽女が!!」


あたしは更に怒鳴り、マキナを玄関の床へと押し付けた。


ここまで騒ぎになっていてもマキナの相手は出て来ない。


想像通り、元からただの遊び相手を連れ込んでいたようだ。


こんな派手な女を本気で相手にするヤツなんていないと、咄嗟に考えて適当な喧嘩を吹っかけたのだが、見事に的を得ていたようだ。


「ご、ごめんなさい……!」


マキナが震える声でそう言った。


「聞こえないんだけど」


「ごめんなさい!!!」


マキナの頬に涙が伝って落ちた。


あたしはその声に心がスッと軽くなるのを感じた。


やっぱり何度聞いても気持ちがいい。


人があたしに土下座し、泣きながら謝る。


それはまるで麻薬のような快楽をもたらせてくれるものだった。


髪の毛から手を離すと、ピンク色の髪の毛が数本指に絡まっていた。


それを取ってマキナの顔の上で捨てると、あたしは満足してアパートを後にしたのだった。