かといってミカンを敵に回してしまうと、名無しの存在が誰なのかわからないままだ。


あたしはため息を吐き出して紙へ視線を落とした。


北乃リナの次に書かれている名前を確認する。


山内マキナ。


住所はここからすぐ近くになっている。


北乃リナの時と同じように家に行ってマキナを怒鳴り散らせばいいだけだ。


そんなの、あたしにとっては簡単なことだった。


「仕方ない。今は別にイライラしてないけど行って来よう」


すべてはミカンの機嫌を損ねないためだ。


自分にそう言い聞かせてあたしは再び家を出たのだった。